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今回はミニPCのデメリットを解説すると同時に「スペックだけで言えば」市場全体の9割程度のユーザーはミニPCで十分だったりするという話題の解説です。
ミニPCというのは簡単に言うと「ノートパソコンの中身を小さな箱に収めてモニターをなくしたPC」です。
過去記事でミニPCについては解説しました。

またミニPCってどんな姿をしているのか、という話なら以下のリンクの写真をご覧ください。
ミニ PC Ryzen 5 3500U搭載 N150/N97 より速い GMKtec G10 mini pc【64GB DDR4 +16TB M.2 SSD (拡張可能)】最大3.7GHz Win11 pro ミニPC 2.5G 有線LANポート4K3画面出力可能HDMI 2.1/DP/Type-C 小型PC 静音設計 USB3.2×3 Nucbox G10 16+256GB。
価格は42,999円 税込(2026年5月14日時点)
ミニPCのデメリットとして以下のような項目が挙げられます。
要するにまとめると「中身はノートパソコンなので、ゲーミングPCみたいな高性能は期待できない」「デスクトップPCのような拡張性はない」「サポートが無い製品が多い」となります。
ファンの音の大きさを指摘する情報もありますが、そもそもノートパソコンだって負荷の大きい作業をさせれば普通にファンは唸るので検討から除外しました。
「拡張性のなさ」がデメリットですが、普通ノートパソコンを後からメモリ増設とかCPU換装とかしないですよね?
拡張する前に十分なスペックの製品を選べば全く問題ありません。
また「サポートが無い」というのは海外製の製品が多いのでしょうがないのですが、料金をある程度出せば国内メーカーのミニPCも販売されているので、そうしたところから入手すれば普通にサポートを受けられます。
たとえばマウスコンピューターのCA-A5A01などは多少高額ですが、保証3年で、24時間×365日電話サポートが付きます。
高額なのは「そこそこ性能の良い新しいパーツを必要十分積んでいるから」です。海外製の安いミニPCはWindowsがインストールできるギリギリの世代の古いCPUに最低限の256GBのSSD搭載、Wi-Fiも6ではなく5までという製品が多いです。その分安いんですけどね。
mouse CA-A5A01。
Windows 11 Home 64ビット
AMD Ryzen™ 5 7530U プロセッサ
16GBメモリ
500GB (NVMe SSD)
Wi-Fi 6E
3年間センドバック修理保証・24時間×365日電話サポート
価格は174,900円 税込〜(2026年5月14日時点)
ということで対処すべきデメリットは「中身はノートパソコンなので、ゲーミングPCみたいな高性能は期待できない」のみとなります。
ではこのGPU非搭載で「最新3Dゲーム、4K動画編集、本格的な3D CAD・生成AI」が使えなくて困るユーザーが全体の何%くらいいるのかというのが問題です。
結論としてはPCユーザーの10%程度がこの「超高スペックじゃないから無理」というのに当てはまりますが、残りの90%は実はスペックさえ適切に選べば「ミニPCで十分快適」なのです。
表で以下にまとめた上で、その割り出しの根拠を挙げていきます。
| ユーザー層 | 推定割合 | 主な用途 | 評価 |
| ① ヘビー層 (ゲーマー・プロクリエイター) | 約10% | 最新3Dゲーム、4K動画編集、本格的な3D CAD・生成AI | 不足 (GPU内蔵PCや独立GPU、メモリ32GB以上が必要) |
| ② 中間層 (ライトクリエイター) | 約15% | フルHD動画編集、イラスト制作、趣味の軽めの3Dモデリング | 十分 (Ryzen5+16GBあれば、内蔵グラフィックスでも十分快適にこなせる) |
| ③ ビジネス・一般層 (メインストリーム) | 約60% | オフィスソフト、Web閲覧、動画視聴、各種ビジネスツール | 十分(快適・最適) (マルチタスクも余裕でこなせるベストスペック) |
| ④ ライト層 | 約15% | ネットサーフィン、動画視聴、たまにレポート作成 | 十分(オーバースペック) (Core 3、メモリ8GBでも足りるが、あれば5年先まで快適に使える) |
この表の基準にしているスペックは「Core 5」あるいは「Ryzen 5」、「メモリ16GB」「SSD516GB」です。
表からわかるように、上位10%は確かにスペックが足りませんが、残りの90%程度はミニPCのミドルモデル程度で必要十分と言えます。
まずPCのユーザーを「法人利用」と「一般利用」に分けます。
MM総研, GIGA端末とOSの更新需要で出荷台数は過去最高「2025年暦年 国内パソコン出荷台数調査」によると【データ3】国内パソコンのルート別出荷台数の図から2025年の情報では個人系ルート428.1万台、法人系ルート1354.5万台となっています。
ここからPC市場全体の出荷数は約1782.6万台、一般利用市場が約24%、法人利用市場が約76%と考えられます。
結局の所ミニPCがカバーしきれていない層というのは① ヘビー層(ゲーマー・プロクリエイター)だけであり、この層が何%いるかというのが最も重要なので、そこを詳しく考えます。
なお法人ルートはほとんどの作業がオフィス用途(文章作成・エクセル作成・Web検索)程度なのでこの層はミニPCで十分と判断しました。
基本的な用途は「最新3Dゲーム」です。
以下のソースから3DPCゲームの主な入口であるSteamの利用経験率が一般層の6.2%という結果があります。
一般層における、ゲームストアとしての Steamの認知率は13.3%、利用経験率は6.2%であることが明らかになった。
CARTA ZERO, 【調査レポート】CARTA ZEROとLighthouse Studio、共同でPCゲーム市場「Steamの日本市場に関する調査レポート」を実施
ゲームをするユーザーのほとんどは一般利用ユーザーなので、全体の24%のさらに6.2%がヘビーなPCゲームユーザーです。
すると全体の1.5%程度がPCゲームユーザーです。
これ以外に生成AIを日常的に使うユーザーとか4K動画を頻繁に作成するユーザーとか3D CADを日常使いするユーザーを考えますが、ゲームユーザーよりは参入のしにくさと用途の機会的に数は少ないと予想されるので、それらが仮に多めに見積もっても1.5%が4倍になるだけなので、6%程度がヘビーユーザーと考えられます。
安全率を考えて10%程度がヘビーユーザーと考えて良いでしょう。
実際3D CADを導入する企業というのもそれほど多くないですし、4K動画を投稿するユーザーは圧倒的に少ないです。生成AIをローカルで動かすユーザーもほとんどいません。ほとんどクラウドのChat GPTとかGeminiでスマホで事足りるからです。
とはいえ「本当に乱暴に1.5%にしてしまっていいのか?」という疑問もありますので、「3D CADユーザー」「4K動画編集者」「生成AIユーザー」に関しても推測していきます。
実際3D CADを利用する主なユーザーであるものづくり企業における3D CADを本格的に使用する企業は全体の17%程度です。(参考:経済産業省, ものづくりにおけるDXの推進について(令和3年4月))
実際は2D CADと3D CADを共存させている企業も多いのですが、3D CAD自体がそれほど浸透していないという状況であり、中小企業ほどこの傾向が強いです。
実際に使われる3D CADが入ったPCの台数を推測していきます。
2021年6月1日の民営事業所数は515万6063事業所、従業者数は5795万人です。(参考:総務省, 令和3年経済センサス‐活動調査 産業横断的集計「事業所に関する集計・企業等に関する集計」結果の要約)
このうち製造業の数は412,617、その割合は8.0%、従業員数は8,803,643人です。
ここで以下の情報から製造業の「研究・開発職」の割合を考えます。
参考:経済産業省, ものづくり人材の確保と育成 ものづくり人材の確保と育成 第1節 企業における技能継承の取組と課題 図 312-1 主力製品の生産に重要な役割を果たした人材/ものづくり人材(%)の中の「新製品開発ができる研職・開発職」より
この情報から製造業の従業員数は8,803,643人(約880万人)という情報で分けてみると以下となります。
8,803,643×0.104=915578.872≒91万5000人
このうち本格的に3D CADを使っている全体の17%がハイスペックPCを所持していると仮定すると、法人ルートのPC総出荷数が1354.5万台だったので以下の計算が成立します。
91万5000×0.17≒150000台
つまり割合は150000÷13545000×100≒1.1%
実際は2D CADと併用して3D CADを使う層がもっといるので、もう少し割合は上がりますが、そもそもPCというのは導入したら5年くらいは使うので、仮にこの二倍の2.2%がヘビーPCユーザーだったとしてもそれを5で割れば0.44%程度になります。
つまり法人PC市場全体の1%程度以下しかハイスペックPCは使われていなさそうだということです。
動画編集をする人自体は増えていますが、その9割以上はYouTube、TikTok、Instagram用の「フルHD(1080p)または縦型動画」です。
普通に4K動画自体の需要があんまりないというのが背景にあります。
仮に多めに見積もって投稿動画全体の10%程度が4Kと仮定しても、そもそも動画編集する人自体が一般的に4.3%程度です。
自分自身で撮影した動画をYouTubeに投稿している“YouTuber(ユーチューバー)”の比率を性年代別に見てみますと、全体で4.3%、男性が全体で6.0%、女性が2.6%でした。
モバイル社会研究所, YouTube認知率96.2% 利用率6割超え:男性10代の投稿率は約2割だが全体では約4%
またYouTubeの月間アクティブユーザー数の日本の状況が7,370万人程度です。(参考:Gaiax Co.Ltd., 2026年5月版!性別・年齢別 SNSユーザー数(X、Instagram、TikTokなど13媒体))
つまり4K動画編集者というのは73700000×0.043×0.1=316910人
程度と考えられ、7370万人に対して0.43%程度です。
この割合を考えるとPC市場全体で考えてもミニPCでカバーできないヘビーユーザーの割合は1%未満と考えられます。
生成AIの主な用途はChatGPTなどのテキスト型AIになります。
個人でGPU搭載のAIを使おうと考えた場合、その主な用途は「画像・動画」生成になります。
この画像・動画生成のユーザーは実際はPC利用者の5%程度に過ぎません。
その算出ロジックを解説します。
まず参考として以下の総務省のデータを挙げます。
参考:総務省, 情報通信白書令和7年版 第2 節 AIの爆発的な進展の動向
上の総務省のデータの利用目的は画像と動画の生成以外はすべてクラウド型のAIで利用するのがほぼ100%なので、ここから以下の計算が成立します。
26.7%×0.035≒0.93%
つまりAIで画像・動画を生成しているのは全体の0.93%程度と考えられます。
実際はクラウドで画像・動画を生成する層もいるのでさらに割合は少なくなるでしょう。
つまりPC市場の1%未満程度がヘビーユーザーとなります。
以上よりミニPCがあまりカバーできていないヘビーユーザーの割合は全体の10%以下と推測できるためほとんどのユーザーはミニPCで十分です。
実際のオフィス用途ではモニター付きの法人向けノートパソコンのほうが明らかに便利ですが、性能的に言えばPCユーザーの9割はミニPCのスペックで十分だったりします。

多少古いパーツでも、新品で安くて机の上でしかPCを使わない、しかもWindowsが使いたいなんて用途ならミニPCが向いているかもしれません